愛犬に快適な睡眠を

みなさんの愛犬は普段どこで寝ていますか?ケージの中で寝るのを好む犬や、ソファーやベッドなどで寝るのを好む犬などさまざまだとおもいます。せっかくなら、愛犬が安心して寝ることができる環境を整え、快適な睡眠をとって欲しいですよね。

寝る場所はどんなところがベスト?

犬が安心して気持ちよく眠れる場所を用意してあげることは、犬の心身の成長にとって大切なことです。では実際どんな場所が良い場所といえるのでしょうか。まずは犬の習性から順に考えてみましょう。

じつは暗くて狭いところが好き

犬はもともと巣穴で暮らしていました。そのため広い部屋よりも狭く薄暗い場所の方が安心することができます。
1番良いのは「クレート」と呼ばれるハウスです。全体的に囲われているので光が入りにくく、巣穴のような安心感が得られます。
とはいえ体勢を変えられないほどでは狭すぎるので、犬がクレートの中で1周回れるくらいの広さは必要です。犬の成長に合わせて、サイズも新調してあげましょう。

水皿やトイレなどと寝床が一緒になっているケージタイプは、クレートに比べて光が入りやすいので中にクレートを入れてあげるか、大きめのタオルや段ボールなどで天井部分や側面を覆ってあげるといいです。

トイレと寝床は別々の場所に

犬はとてもきれい好きな動物で、寝床を汚すことを嫌います。
これも巣穴で暮らしていたときからの習性の一つなのですが、巣穴の中で排泄してしまうと菌や虫などが繁殖しやすく衛生的に保てないことを知っています。そのため、母犬は子犬のおしりを舐めて刺激することで排泄を促し、そのまま舐め取ってしまうのです。子犬が成長し、自分で排泄のコントロールができるようになると、巣穴の外に出て排泄をするようになります。

トイレのしつけがある程度できたらトイレと寝床は別々の場所にするほうが、犬も快適に寝ることができるでしょう。

寝床は落ち着ける場所に

寝床の場所も大切です。廊下や扉付近など人の行き来が多い場所、音や光を受けやすいテレビの近くやエアコンの風が直接あたる場所は避けましょう。
また、警戒心が強い子や不安になりやすい子などは外の人の気配や音が気になってしまうので玄関や窓から離した場所を選んであげてください。

リビングや飼い主さんの部屋など、飼い主さんの気配を感じられる部屋で刺激を受けにくい場所が良いです。

落ち着ける場所を用意するという点では寝床が1つである必要はないので、メインの場所にクレートやケージをおいて、他の場所にはタオルや毛布などで落ち着ける場所を作ってあげるのもおすすめです。

それって愛犬が気持ちよく寝ているの?

人間に比べると、睡眠時間が長い犬。やることがない時は、ウトウトしながら過ごすことでしょう。とはいえ、最近は、留守番の時間が長過ぎる子が増えています。留守番中の様子をWEBカメラなどで見てみると、のんびりお昼寝をして過ごしているように見えるかも知れません。しかし、なんの刺激もない室内に一匹でいると、犬は寝るしかないでしょう。

「寝ている=気持ちいい」ではなく、「寝ている=暇すぎて苦痛」のこともあるのです。6時間を超えるような長い留守番を、寝たり起きたりして過ごした犬は、飼い主さんが帰ってきた時には、パワーがフル充電のはずです。飼い主さんは、帰ってきたら、まず、長い留守番を耐えてくれた愛犬と散歩に行き、一緒に遊んであげるようにしましょう。

仕事が忙しいなど留守が多くなる場合には、犬のデイケア施設や、ペットシッターサービスを活用しましょう。昔に比べて、お店の選択肢も充実しています。自分だけで無理をせずにプロの力も借りて、愛犬と飼い主さん自身の、笑顔と健康を守っていきましょう。

愛犬の安眠のために出来ること

犬は、たくさん寝る必要があることがわかりました。ただ、なにも刺激もない日々を過ごしていては、気持ちの良い睡眠は取れません。愛犬に気持ち良く眠ってもらうには、どうしたら良いのでしょうか?

十分な運動

しっかり体を動かして、適度に疲れているからこそ、快適な眠りが増えるというもの。運動不足だと、夜になってもベッドで走り回ったり、寝ようとする飼い主さんを起こして、「もっと遊ぼうよー! 」と犬も夜ふかしをしたくなってしまいます。

十分な刺激

一緒に遊んだり、コミュニケーションを取る時間が短いと、犬が得る刺激が不足します。例えば、留守が長い家は、犬が何も刺激を得られずに、ずっと家で昼寝を繰り返すため、夜になってもなかなか眠れません。さらに、刺激不足は、神経過敏の原因になり、安眠できないだけでなく、生活の中の刺激に反応して過剰に吠えたり、興奮したりと、問題行動にも発展します。

寝場所の快適さ

犬は寝場所をコロコロ変えて、うたた寝をします。家の中に3ヶ所くらい、気持ちよく眠れる場所を用意しましょう。ふかふかのベッド、涼しい硬めのフロア、壁で囲まれていて中にこもれるクレートなど、その時の愛犬の好みで寝場所を選べたらベストです。

24時間ずっと明るい場所、人の出入りのある場所、騒々しい場所、ずっと寒い暑いなどの、不快な環境だと、安眠できません。寝場所は暗く、人の動線にならず、気持ち良い温度で、安心できる寝床を用意するようにしましょう。

健康状態の管理

体の調子が悪ければ、気持ちの良い睡眠は取れません。関節が痛かったら、寝る姿勢でいることも辛いでしょうし、内臓に疾患があれば、不快感で目覚めてしまうでしょう。愛犬が気持ちよく眠れていないかなと感じたら、動物病院に相談しましょう。

睡眠中の邪魔はNG

寝ている姿を見ていると、体をなでたり、毛布をかけてあげたくなるかも知れません。しかし、睡眠中の愛犬に触るのは、安眠妨害になります。海外でも、「食べている犬、寝ている犬には、近づくな」と言われています。動物の生命維持行動を妨害すると、嫌われたり、事故の原因になってしまいます。

飼い主と一緒に寝ても大丈夫? 気を付けることは?

犬と飼い主さんが一緒に寝ること自体に問題はありません。一緒に寝ることで安心したり幸せを感じたりすることもあるでしょう。では、どんなことに気を付けてあげればよいのでしょうか。

まず、しつけは必要です。飼い主さんの指示でベッドから降りられるようにしつけること、時にはクレートなど別の場所で寝かせることもしつけておきましょう。一緒に寝ることが当たり前になってしまうと、犬が飼い主さんに依存してしまい、離れることで大きなストレスを感じやすくなってしまうためです。

また、災害時など不測の事態では、不安だらけの環境下で飼い主さんとも離れて過ごすことになるかもしれません。その他にも、愛犬と旅行をする場合にも、宿泊先によっては人のベッドでは犬が一緒に寝ることができないところもあります。日頃からいろいろな場所で寝られるよう練習しておくと安心です。

1日の平均睡眠時間、犬の年齢と睡眠時間の関係は?

犬も人と同じで、年齢や生活環境によって睡眠時間が変わってきます。
成犬の1日の平均睡眠時間はおよそ12時間といわれています。人よりも睡眠時間は長いですが個体や生活環境によっても異なります。
また、犬は人と違い深い睡眠よりも浅い睡眠をたくさんするので、「すぐに起きちゃう」と心配しなくてもトータルで睡眠時間が取れていれば大丈夫です。

子犬の睡眠時間

子犬の睡眠時間は成犬と比べると長く、18時間以上は必要だと考えられています。睡眠時間が短いと、心身の成長に影響を及ぼすなど病気の原因になることもあります。

人では、「寝る子は育つ」といわれていますが、それは犬も同じです。
子犬の時期は特にかわいいですが、構いすぎはよくありません。安心してゆっくり眠れる環境を整えてあげ、寝ている場合には無理に起こさずそっとしておいてあげてください。

シニア犬の睡眠時間

高齢になると体力も落ち、疲れやすくなるため、眠って過ごす時間が長くなります。健康状態によっては食事や排泄時以外の時間を眠って過ごす犬もいるでしょう。
睡眠は大切ですが、高齢だからと家の中だけで過ごしていると運動機能が低下し、体力も落ち老化のスピードを早めてしまうことにもなります。
動けるようであれば、ゆっくりでいいので家の周りを歩いたり、歩くのが難しい場合にはペット用のバギーなどに乗せて外の風やにおいを嗅いだりすることが良い刺激になります。

大好きな愛犬に、快適な睡眠を!

犬は1日の半分以上を眠って過ごします。せっかくなら、少しでも快適に寝てもらいたいですよね。そのためにも、ベッドや環境を整えること、日々適度な運動を取り入れてあげることが大切です。

睡眠は、毎日のことですから、日々愛犬を観察しながら、どうしたらもっと気持ちよく寝られるかを研究を続けていきましょう。